外反母趾という言葉を耳にすることがありますが、外反母趾とはどのような症状なのでしょうか。また、外反母趾は整骨院で治すことができるのでしょうか。ここでは、外反母趾の原因や治療法についても解説します。
外反母趾とは
外反母趾とは、足の親指が人差し指のほうに曲がって、第一中足趾関節が変形する症状です。
外反母趾というと、足のつけ根の骨が突き出てくると勘違いしている人がいますが、そうではありません。ちなみに外反母趾は、外反母趾角が15度以上になったものを指します。
外反母趾は欧米のように、靴を履く習慣がある国では昔から多くありました。日本では昔は草履を履いていましたから、外反母趾はほとんどありませんでしたが、明治になって近代化が進み、靴を履くようになると外反母趾も増えていきました。
特に女性の場合は、先の細いハイヒールを履く機会が多いので、外反母趾になるリスクも高くなります。
外反母趾は、男性でも子どもでも発症しますが、女性の発症率が高いのが特徴と言えるでしょう。外反母趾は単に足の指が痛むだけでなく、痛みを我慢して無理な姿勢を取るために、膝痛や腰痛、肩こり、偏頭痛など、足の指とはまったく関係ない部位にまで、深刻な症状が現れます。
外反母趾の種類
外反母趾には、以下のような種類があります。
靭帯性外反母趾
足先の横にある、横中足靭帯がゆるむことで起こる外反母趾です。親指が小指側に、極端に曲がって痛みが生じます。
仮骨性外反母趾
親指そのものはあまり曲がらず、親指の付け根の骨が異常に大きくなって、出っ張るのが特徴です。
混合性外反母趾
靭帯性外反母趾と、仮骨性外反母趾が合わさった外反母趾です。中年以降の女性に発生することが多いのが特徴です。
ハンマートゥ性外反母趾
生まれつき足の指が長かったり、ハンマーのように縮んでいたり、指先が上を向きすぎている場合に、発症しやすい外反母趾です。足の指が浮いているために起こるもので、見た目にも足の指が弱々しく見えます。
病変性外反母趾
リウマチ、へバーデン結節などの病気や、事故などによる怪我が原因で、足の指が変形したり脱臼するために起こる外反母趾です。他の外反母趾と比べても極端に症状が深刻なので、手術で治すしかないのですが、手術しても治る可能性は少ないようです。病変性外反母趾は、初期の段階でテーピングして、症状が悪化するのを抑えることが大切です。
外反母趾になりやすい足の形
人の足の形はさまざまですが、その中には、外反母趾になりやすい特徴を持つ足の形があります。また、足の形以外にも、外反母趾を誘発しやすい要因がいくつかあるので、併せて解説しましょう。
エジプト型
足の指の中で親指が一番長く、小指に向かっていく順に短くなる形です。日本人の約70%がこの形で、もともと日本人は外反母趾にかる可能性が高いのです。
ギリシャ型
足の人差し指が、親指より長いのが特徴です。人差し指が曲がりやすいために、ハンマートゥ性外反母趾にかかりやすくなります。
スクエア型
親指から中指までほぼ同じ長さで、四角形に近い形をしています。日本人には少ない足の形です。
遺伝
外反母趾は遺伝する病気ではありませんが、外反母趾になりやすい足の骨格は遺伝します。そのため、親や親族に外反母趾の人がいるとかかりやすくなります。
足の筋肉低下
現代生活では、長時間靴を履いて過ごすのが当たり前になり、はだしで過ごす時間が減っています。はだしで過ごす時間が減ると、足への刺激が少なくなるので、筋肉や機能低下につながります。また、乗り物に乗って移動することが多く、自分の足で歩かないために、足底の筋肉(足の指を動かす筋肉)が低下して、靭帯や筋が弱くなることによって、外反母趾にかかりやすくなります。
足に合わない靴やハイヒール
足に合わない靴を履き続けたり、ハイヒールを履く機会が多いと、外反母趾になりやすくなります。サイズの小さい靴を履くと、足の先が押しつけられるので足指の変形につながります。また、ハイヒールは足の先に体重がかかるため、外反母趾の一番の原因と言われています。さらに、女性の場合は男性よりも筋肉量が少ないので、親指の力が衰えやすいことも、外反母趾の原因の1つです。
外反母趾は整骨院で治せる?
外反母趾は整形外科で治すのが一般的ですが、整骨院でも治すことができます。
整形外科では、手術によって外反母趾を治します。これに対して、整骨院ではテーピングを使った治療を行います。
外反母趾が悪化すると、完治するのが難しくなるので、なるべく初期の段階で適切な処置をすることが大切です。
多くの場合、外反母趾は歩き方や生活習慣など、日常生活の中に原因があるので、その習慣を改めないと、手術してもまた再発することがあります。
外反母趾のセルフチェック
靴を履くと親指の付け根が痛くなったり、親指が小指のほうを向いている場合は、外反母趾の可能性があります。
痛みや変形がなくても、靴を脱いだときに親指や小指の側面が赤くなっているようなら、外反母趾の初期段階かもしれません。
足の裏の指の付け根付近にタコができていたり、足の指が縮こまっている場合も外反母趾を疑いましょう。また、ペタペタ歩く人や歩幅が狭い人は、外反母趾になりやすいので注意が必要です。
外反母趾の応急処置
外反母趾は、何らかの原因で足の指が変形するために起こる病気です。そのため、外反母趾は激しい痛みを伴います。
もし仕事中や外出中に痛みが生じたら、応急処置をして痛みを抑えないと、何もできなくなってしまいます。
外反母趾は、親指の付け根が靴に当たって痛みが生じるので、以下の方法で応急処置しましょう。
市販のサポーターを使う
外出中に急に外反母趾が痛みだしたら、ドラッグストアで、外反母趾用のサポーターを買うことをおすすめします。また、足の指と指の間にはさむシリコン素材もあるので、使ってみるといいでしょう。ただし、こういったものを、日常的に使用するのはおすすめできません。あくまでも、外反母趾の痛みを一時的に緩和するだけなので、根本的な治療にはならないからです。
患部を冷やす
外反母趾で痛みが出たら、冷湿布などを貼って冷やすと痛みが緩和します。
外反母趾にならないために
これまで解説しましたように、外反母趾にはいろんな原因があります。生まれつきの足の形が原因であれば、外反母趾を防ぐのは困難ですが、少し工夫すれば外反母趾になりにくくすることができます。
5本指タイプの靴下を履く
5本指それぞれが独立した靴下を履けば、足の指が自由に動かせるので、外反母趾になりにくくなります。
足の指を動かす運動をする
「足じゃんけん」をすることで、外反母趾を防止することができます。足じゃんけんとは、足の指を使って、「グー」「チョキ」「パー」を作る動作をします。また、タオルギャザーといって、床にタオルを置いて、足の指で手繰り寄せるのも効果があります。
まとめ
親指が小指側に曲がって、痛みが生じるのが外反母趾の特徴です。
外反母趾は、靴を履く時間が長いとかかりやすくなります。外反母趾による足の痛みをかばう生活をしていると、腰痛などの別の症状を誘発するので、なるべく早めに処置しましょう。
外反母趾は、足の形によってもかかりやすい場合があります。また、小さいサイズの靴を履いたり、ハイヒールを履くと、外反母趾になりやすいので注意しましょう。
外反母趾は、はだしで過ごす時間を増やすと、足に刺激を与え足裏の筋肉の強化につながるので、改善します。
外反母趾は整形外科でも治せますが、整骨院でもテーピングを使って治療することができます。