神経痛ってなに?
皆さんは神経痛を経験したことはありますか?神経痛とは厳密には病名ではなく、様々な原因で引き起こされる症状のことを指します。神経という言葉のとおり、神経痛は神経系と密接な関係にあり特に末梢神経と深く関わっています。末梢神経とは自律神経や運動神経といったものです。これらのうち、何らかの原因で受けた刺激が神経にそって生じる痛みを総じて『神経痛』と呼びます。本記事ではそんな神経痛のなかでも代表的な4つの神経痛について、主な症状と治療法を紹介していくので是非ご自身の体調の参考にしてみてください。
主な神経痛の種類
神経痛には代表的な4つの種類があるので、それぞれの紹介をしていきます。
坐骨神経痛
神経痛の中でも知っている人が多いと思われる症状です。坐骨神経痛の坐骨神経とは、坐骨を通りおしりを抜けて足へ向かっている末梢神経の1つであり、そのため腰から足にかけて痛みが起こります。
肋間神経痛
肋間とは肋骨の間のことであり、痛みは主に背中から胸にかけて起こるとされています。
三叉神経痛
三叉神経痛は目の周りや、額、頬などの顔面に痛みがはしる症状で、痛みは顔面の片側に集中するとされています。
帯状疱疹後神経痛
帯状疱疹とよばれる病気が治ったあとに続く痛みのことです。
これらは神経痛のなかでも特に代表的なものです。次項からはそれぞれの詳しい症状や、治療法について解説していきます。
坐骨神経痛の主な症状と治療法について
症状
おしりから太ももの裏側、ふくらはぎなどにかけて左右どちらかに鋭い電気が走ったような痛みをともないます。その痛みは「ビリビリ」「ピリピリ」「ズキズキ」「ジンジン」「チクチク」などと表現される方が多いです。また長時間時間たっていることが辛く、歩くと足に痛みが走るため徒歩での移動が困難になります。姿勢によっても非常に強い痛みを感じるといわれ、特に腰をそらしたり体をかがめるといった動作があてはまります。これらの症状が1つでもみられた場合、坐骨神経痛を疑ってみた方が良いかもしれません。
治療法
主な治療法には『保存療法』と『手術療法』の2種類があります。手術療法は文字通り手術による治療ですが、手術以外の治療法として保存療法があります。保存療法には5つの種類があり、それぞれに特徴があるので紹介していきます。保存療法の1つ目は物理療法です。これらには主に温熱療法や、マッサージ療法、低周波電気療法、赤外線やマイクロ波による治療、骨盤牽引などが含まれます。2つ目に運動療法があります。ストレッチなどによって筋肉の血行を抑止、痛みを和らげていく方法です。これは手術療法後のリハビリとしても使われます。3つ目に装具療法があります。コルセットなどを用いて脊椎を安定させることで痛みを和らげる方法です。自然と良い姿勢を保てますが、長期間の使用は筋力の低下をもたらすので、だいたい1カ月程度の装着になります。4つ目は薬物療法です。薬を使って痛みを和らげます。根本的な治療にはなりませんが、痛みを抑えることで生活がしやすくなります。5つ目はブロック療法です。局所麻酔などを神経のまわりに注入することで強い痛みを緩和することができます。
肋間神経痛の主な症状と治療法について
症状
背中から脇腹、胸の前面やおへそ辺りといった場所に強い痛みを感じます。電気が走るような痛みや、ジクジクと持続するような痛みを訴える方が多いです。特徴として、上半身の右か左のどちらか一方にのみ起こる場合が多く、人によっては体を動かしたときに息が出来ないほどの痛みを感じます。
治療法
肋間神経痛は主に痛みを薬で緩和させる治療法が多いです。痛みと炎症を抑える薬を投与したり、抗ウイルス薬を投与したり、神経周りに麻酔を打ったり、リハビリテーションによる治療を行います。特に麻酔を打つのは薬で痛みの改善が見られず、痛みが慢性化している場合に行われます。3カ月以上も痛みが続いている場合には抗うつ剤や抗てんかん薬を処方する場合も多いです。また肋間神経痛には冷えが良くないとされるので、体を温めるような入浴や軽い運動もすすめられています。
三叉神経痛の主な症状と治療法について
症状
顔面のどこか片側にかけて突然鋭い痛みがはしります。発作的で非常に強い痛みですが、持続するのは数秒から数十秒程度が多いです。痛みのない期間があるため、そのほかの脳神経症状は伴わないといいます。患者さんごとに痛みを引き起こすトリガーとなる動作があることが多く、それらにはメイクをする、ひげぞそる、洗顔をする、食事をするといった様々な動作が含まれます。
治療法
治療方法は痛みの程度によって変わってきます。日常生活が出来ないほどの激しい痛みに襲われている場合、手術での治療がすすめられます。痛みの程度によっては手術による根本的な治療ではなく、痛みを軽減するための治療が用いられ、神経まわりへの麻酔薬の注射や、薬物療法、放射線治療などがあります。
帯状疱疹後神経痛の主な症状と治療法について
症状
持続的で焼けるような痛み、断続的に刺すような痛みを感じることが多いです。触ると痛みを感じる方もいれば、逆に感覚が鈍くなってしまうという方もいます。主に体幹部に痛みを感じる方が多く、片側のみの場合が多いです。痛みが長期間続くことが多く、3カ月以上にもわたって痛み続けることがあります。
治療法
帯状疱疹後神経痛には、万人に当てはまる絶対的な治療法は存在せず、一人一人に合わせて治療法を選択していくことになります。それらの治療法には、薬物療法や神経ブロック、また理学療法などがあります。根本的な治療法はなく、自分に合った治療法で症状を緩和させていく必要があります。
神経痛全般に共通する?考えられる原因とは
神経痛のなかでも代表的な『坐骨神経痛』『肋間神経痛』『三叉神経痛』『帯状疱疹後神経痛』について紹介してきましたが、神経痛はこれらのほかにも様々な種類があります。そこで、神経痛全般に共通するといわれる日常の原因を紹介するので、今後神経痛を患わないためにもこれらの行動をとっていないか、ご自身の生活と照らし合わせてみてください。
日常の慢性的なストレス
ストレスは神経痛全体に共通する原因だとされています。慢性的にストレスを感じることによって、痛みを感じる感受性が高まってしまうのです。
体の冷え
体を冷やすことも原因になるといわれています。日ごろから入浴などによって体を温める習慣をつけると良いでしょう。
腰を曲げた状態での長時間にわたる仕事
腰が曲がった状態が長時間にわたることも非常に良くないとされています。特に、長時間デスクワークをしたり、運転時間が長い方は要注意です。そういった姿勢をとり続けていると、椎間板という椎骨の間のクッションの役割を果たしているゼリー状の髄核がはみだし神経痛の原因となります。
加齢や病気による脊柱管の変形
腰部の脊柱管が老化によって変形は神経を圧迫し、神経痛を引き起こします。
まとめ
どうでしたか?加齢や病気による変化、日々のストレスはなかなか避けることが難しいですが、仕事中の姿勢や体の冷えということは意識するだけでだいぶ変えられる部分です。一度神経痛になってしまうと、最悪の場合手術が必要であったり、痛みの緩和しかできない場合があるので、日ごろから神経痛を患わないように生活習慣に気を付けていきましょう。もしかして神経痛かな?と思った方は、すみやかに病院を受診することをおすすめします。