近年、腰痛や肩こりをはじめ、慢性病の治療のために、整骨院に通う人が増えています。整骨院の施術は、病院やクリニックの整形外科では、治らないような症状も改善できるという点で人気があります。
そんな人気の高い整骨院ですが、このコロナ禍において、何らかの病源菌に感染してしまうのではないかと気になっている方もいるでしょう。今回は整骨院における感染症の感染リスクや、予防対策についてお話してみたいと思います。
整骨院の感染症対策
整骨院では、現在問題となっている、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐために、さまざまな感染症対策を行っています。もちろん、それ以外の感染症についても、同様の対策が施されています。多くの感染症は、飛沫感染と接触感染によって感染が拡大します。飛沫感染とは、感染者の咳やくしゃみなどの飛沫によって、感染するものです。
接触感染は、ウイルスが付着した手で、目や口、鼻などの粘膜部分に触ることによって感染します。飛沫感染と接触感染を防ぐには、石鹸を使ってこまめに手洗いするのが効果的です。特に外出先から帰ったあとや、咳をした場合なども、手洗いするようにしましょう。もし手を洗う前に、咳を受けた手で目や口、鼻などに触ると、感染するリスクが高まるので注意が必要です。
また、咳をする際はマスクを着用したり、口や鼻をティッシュで覆ったり、腕の肘を曲げた内側に鼻をつけて咳をするなどの、咳エチケットを守る必要があります。このように、手洗いを頻繁に行ったり、咳エチケットを守ることによって、感染症の拡大を大幅に抑えることができます。整骨院の入口に、アルコールなどの消毒液を置いて、整骨院に入る前に手を消毒するように促せば、有効な感染症対策になるでしょう。
施術者の手洗い・消毒も重要
施術者や患者に接する施術院のスタッフは、応対する患者ごとに、手洗いをするようにしましょう。施術者は特に、手で目や口、鼻などを触らないように、注意することが大切です。また、施術者とスタッフはマスクを着用し、マスクの外側を触らないようにする必要があります。このほか、定期的に窓を開けて換気したり、整骨院内で使用するタオルなども、頻繁に交換しましょう。
次亜塩素酸ナトリウムが効果的
手の消毒は、通常は消毒用アルコールを使うことが多いでしょう。アルコールは70%濃度に薄めたものが、殺菌効果があるとされています。このように、アルコールは消毒液として有効ですが、アルコール以上に殺菌効果があるのが、次亜塩素酸ナトリウムです。そのため、整骨院で感染症対策のために消毒液を使うなら、0.1%に薄めた次亜塩素酸ナトリウムを使うのがおすすめです。
患者が安心する整骨院
感染症拡大などの影響で、整骨院を訪れる患者が減る場合があります。しかし、同じ状況にもかかわらず、訪れる患者が減らない整骨院があるのも事実です。では、感染症が拡大しても患者を減らさないために、どんな工夫が必要なのでしょうか。そのためには、まず患者に安心感を与えることが大切です。
そこで、整骨院で行っている感染症対策を、患者から見える形にする必要があります。整骨院内のあちこちに、消毒液が入ったスプレーを置いて、患者が座った待合室の椅子や施術用ベッドなどを、患者が入れ替わるたびに消毒するようにしましょう。多くの患者が見ている前で頻繁に消毒することによって、患者に安心感を与えることができます。このように、目で見てわかる対策を、積極的に取り入れることが大切なのです。
キャッシュレスの導入
感染症は、誰かが触ったものを、別の人が触ることによって拡大します。多くの人が触るものといえば、まず思い浮かぶのはお金でしょう。紙幣や硬貨などは、不特定多数の人が触っているため、その中に1人でもウイルスを持った人がいると、そのあとに触った人が感染するおそれがあります。そのため、患者に安心して通院てもらうためには、キャッシュレス決済を導入するのが有効です。
キャッシュレスにすると、感染症対策以外にも、患者にとってメリットがあります。キャッシュレスなら、患者は現金を持たずに通院できるので便利です。もしキャッシュレスカードを紛失しても、現金をなくした場合に比べてリスクが少ないのも、大きなメリットと言えるでしょう。また、キャッシュレスにすると、整骨院の現金管理が容易になるので、人件費の削減につながります。
さらに、キャッシュレスにすることによって、外国人旅行者の需要を取り込むこともできます。外国人が日本に滞在中に怪我をした場合、キャッシュレス対応の施術院であれば、現金がなくても施術が受けられるので、新たな患者獲得のツールとしても活用できるでしょう。このように、整骨院のキャッシュレス化は、患者と整骨院の双方にメリットがあります。日本は海外に比べて、驚くほどキャッシュレス化が遅れています。
たとえば、中国はほぼ100%近くの店舗がキャッシュレス決済を導入しているのに対して、日本では30%程度しか導入されていません。中国では偽札が横行しているため、政府主導でいち早くキャッシュレス化に踏み切ったと言われていますが、日本では偽札がない安心感から、いまだに現金決済が主流を占めています。偽札がないのは良いことなのですが、そのためにキャッシュレス化が大幅に遅れてしまっているのです。そこで、他院に先駆けてキャッシュレス化を導入すれば、新たな顧客獲得にもつながるでしょう。
予約制にする
予約制を導入していない整骨院に行くと、予想以上に混雑していて戸惑うことがあります。混雑していると待ち時間が長い上に、感染症が心配な時期であれば、人ごみの中にいるのはなるべく避けたいものです。そのため、感染症が拡大していると、患者は予約制の整骨院に流れる傾向があります。予約制なら、予約した時間に行けば待たされることもなく、院内も混雑していないので、感染症にかかるリスクも大幅に軽減されます。予約制にはこういったメリットがあるので、感染症拡大のために患者が減ることが懸念されるなら、予約制を導入するのも有効な方法です。
換気の重要性
感染症にかからないためには、混雑した整骨院を避けることのほかに、換気が徹底した整骨院を選ぶことも大切です。換気のためには、常時換気扇を回したり、定期的に窓を開けるなどの対策が必要です。換気をすると、夏場はせっかくエアコンで冷えた空気が外に流れ出してしまうし、冬場は寒い風が入ってきます。そのため、換気扇を回したり、窓を開けるのをためらう傾向があるのも事実です。
しかし、感染症を防止するためには、換気は欠かせません。整骨院で感染症にかかるリスクを避けるためには、換気に気をつけている整骨院を選ぶのも大切なことです。エアコンの普及によって、日本では暑い夏でも寒い冬でも、快適に過ごせるようになりましたが、感染症拡大から身を守るためには、換気を徹底して、夏暑く冬寒い環境に慣れることも、必要なのかもしれません。
まとめ
最近、腰痛や肩こりなどの慢性病の緩和のために、整骨院に通院する人が増えています。しかし、整骨院では密になりやすいので、感染症対策を考慮する必要があります。感染症には、飛沫感染と接触感染があるので、マスクを着用し、手洗いを励行することが大切です。特に、ウイルスが付着した可能性のある手で、目や口、鼻などの粘膜部分に触るのは絶対に避けましょう。整骨院でも、施術者やスタッフの手洗い消毒は欠かせません。整骨院で感染症のリスクを減らすには、キャッシュレス化や予約制の導入も有効です。また、感染症の予防には換気が重要なので、常時換気扇を回したり、定期的に窓を開ける必要があります。