出産後に、体や精神面の不調を訴える女性は、意外に多いようです。女性にとって、赤ちゃんを産むのは一大事業ですから、産後に何らかの不調をきたすのは、無理のないことかもしれません。
また出産してから、出産前の体型に戻らないことで、悩む女性も少なくないようです。このような悩みを解決するには、骨盤矯正が適していますが、骨盤矯正は産後いつからできるのでしょうか。
骨盤矯正とは
骨盤は体の中心部にあり、上半身と下半身をつなぐ、重要な役割を果たしています。骨盤は、上半身の重みをすべて受け止めているので、どうしても負荷がかかりやすい部位でもあります。
骨盤矯正は、このように骨盤にかかる負荷のせいで、ゆがみやズレが生じた場合に、正常な元の状態に戻すための施術です。
骨盤がゆがむ原因の多くは、日常生活の中にあります。たとえば、足を組んだり、いつも同じ側にカバンを持ったり、仕事で常に同じ姿勢を取るなど、体に不均衡に力がかかる状態を続けることが、ゆがみの原因になるのです。
骨盤のゆがみは男性にも女性にも起きますが、女性のほうが男性よりも骨盤が大きく、しかも女性特有のホルモンの影響も出やすいので、なおさら骨盤がゆがみやすくなります。
骨盤がゆがむと体に不調が起きるだけでなく、その不調がストレスになって、精神的なダメージを受ける場合もあります。女性が産後にかかることの多い「産後うつ」も、骨盤のゆがみが原因になっている場合も、あるのかもしれません。
骨盤にゆがみがあれば、正しく矯正することによって、体の不調が改善されるとともに、姿勢がよくなるなどの副次的な効果もあります。
産後の骨盤矯正とは
出産が近づくと、女性の体からリラキシンというホルモンが分泌され、赤ちゃんが分娩時に骨盤を通りやすいようにします。リラキシンの作用によって、骨盤周辺の靭帯や筋肉がゆるんで、骨盤が開きます。
骨盤が開くのは出産のためなので、出産が終わると少しずつ閉じていきますが、場合によってはなかなか閉じないこともあります。これは、出産後に無理な体勢で赤ちゃんを抱っこしたり、授乳したりするので、骨盤がズレたりゆがんだりするために、正常に閉じなくなってしまうのです。
骨盤が閉じないまま放置しておくと、腰痛が出たり恥骨のあたりが痛くなったり、出産前の体型に戻らなくなったりします。このような状態を改善するために、産後の骨盤矯正が必要なのです。出産後に骨盤が開いたままでも、体の不調を感じない人もいます。
しかし、だからといって放置していいわけではりません。特に症状がなくても、出産後しばらくたって、妊娠前に履いていたズボンが履けなくなっていれば、骨盤が開いたままの可能性があるので、一度施術院で診てもらいましょう。
産後に起きやすい体の不調
出産後に骨盤が開いたまま生活していると、さまざまな不調が起こるようになります。それは、骨盤が正常な状態でないために、無理な筋肉の使い方をするので、姿勢が悪くなるからです。
この状態が長く続くと、腰痛、恥骨痛、関節痛、尿漏れ、冷え性、便秘など、さまざまな影響が出始めます。これらはすべて、骨盤がゆがんでいるために、腰や恥骨などに負担がかかり、子宮や膀胱など骨盤内の内臓にまで、影響が及ぶために起こります。そのため、出産後は骨盤矯正を行って、骨盤を正しい位置に戻すことが必要なのです。
骨盤矯正は、施術院に行かなくても、骨盤矯正ベルトを使って自分で行うことも可能です。しかし、骨盤矯正ベルトで治せるのは、あくまでも軽い症状の場合だけなので、ある程度症状が重ければ、施術院で骨盤を矯正してもらうほうが安心です。
出産前の体型に戻す効果
出産後に骨盤矯正すると、出産前の体型に戻すことができます。出産後、骨盤が開いていると、腰痛などの症状が出ない場合でも、体重は減っているのに、妊婦みたいな体型のままになることがあります。
これは、出産後骨盤が開いたままだと、胃や腸が下がってしまうので、下腹部がふくらんでしまうからです。
このように、骨盤が開いたままだと、いろいろとマイナス面が出てしまいます。
出産後の骨盤矯正はいつからできる?
骨盤矯正は、出産後1~2カ月目くらいから受けることができます。1~2カ月たつと、母体も出産のダメージが回復しているので、骨盤矯正が可能になるのですが、人によってはダメージの回復に、もっと時間がかかる場合もあります。
また、帝王切開すると、もっと日数がかかる場合もあるので、医師や施術師と相談しながら受けましょう。
ちなみに、骨盤矯正の効果がある期間は限られています。一般的に、出産後半年過ぎると、骨盤矯正の効果はなくなると言われています。出産後半年以内であれば、まだ骨盤が柔らかいので、矯正しやすいのです。
ただし、半年過ぎると骨盤矯正ができないわけではありません。あくまでも、まだ骨盤が柔らかいのは出産後半年以内なので、その間に骨盤矯正したほうが効果があるということです。
ちなみに、出産後半年以上経過すると、施術院によっては、骨盤矯正を受けられない場合もあるので注意が必要です。
産後骨盤矯正のメリット
産後に限らず日常生活の中でも、知らず知らずのうちに骨盤に負荷をかけているので、骨盤矯正をするとさまざまな不調が改善されます。
骨盤がゆがんでいると、骨盤底筋群がゆるんでしまうので、骨盤を矯正して体幹を引き締めることによって、腰痛や頻尿、むくみなどの、一見すると骨盤のゆがみとは関係なさそうな症状まで改善されます。
また、骨盤がゆがんでいると、痩せにくくなる場合もあるので、骨盤を矯正することによって、ダイエット効果が出ることもあります。
このように、産後骨盤矯正を受けることによって、出産とは関係ない体の不調も、一緒に改善することが可能になるのです。
産後骨盤矯正で改善される症状
産後骨盤矯正は、以下のような症状に効果があります。
腰痛や肩こり
骨盤がゆがむと、それまで体の各部に分散されてかかっていた、上半身の重みが不均等に筋肉や関節にかかるようになるため、腰痛や肩こりが生じます。しかも、出産後は赤ちゃんを抱っこしたり、赤ちゃんをおんぶしたまま家事をしなくてはならないため、さらに負荷がかかります。骨盤矯正で、筋肉や関節にかかる力が分散されれば、腰痛や肩こりも自然と改善されます。
尿漏れや便秘
出産後、ふとしたはずみで自分の意志とは関係なく、尿を漏らしてしまう女性は少なくありません。尿漏れは、骨盤を支える骨盤底筋がゆるむために、内臓が下がって膀胱が押されるために起こります。また同様に、腸も押されるので便秘になりやすくなります。骨盤を矯正すれば、骨盤底筋のゆるみもなくなるので、このような症状も改善されます。
出産前の体型に戻る
出産後に骨盤が開いたままだと、体重は減っても体型が元に戻らなかったり、体重が落ちにくいなどの症状が現れます。骨盤が開いていると、内臓が下がってしまうので、ぽっちゃり体型になりがちです。骨盤矯正をすれば、内臓が正常な位置に戻るので、体型も出産前の状態に戻すことができます。
まとめ
出産後に起こる体や精神面の不調は、骨盤のゆがみが原因で起こることも少なくありません。出産後の骨盤矯正は、出産から1~2カ月後には可能なので、体に不調があれば受けてみましょう。
骨盤矯正は出産後半年以内のほうが、まだ骨盤が柔らかいので効果があります。出産に限らず日常生活でも、骨盤に負担をかける動作をしている場合が多いので、出産後に骨盤矯正することによって、腰痛や肩こりなどの症状が緩和されることがあります。