肩の違和感を感じる症状と原因
肩は胴と腕をつなぐ関節です。腕を自由に動かすために体の中でも重要な部分なのです。
腕の重さは、片方だけでその人の体重の約6%ほどあると言われています。
50kgの体重の場合、片腕3kgという計算になります。
常にその重さを肩の関節で支えているということは、なにもしなくてもある程度の負担が肩にはかかっていることがわかります。
肩に違和感を感じたときに現れる症状は、放っておいてはいけません。
- ・肩が上がらない、回らない
- ・肩が張ったような感覚、肩が重い感覚
- ・肩の痛み、肩の腫れ
- ・首、背中、腕の痛み
これらの症状は肩になにかしらの異常が起きているサインです。
原因となるケガや病気はいくつか考えられます。
肩こり
よく聞く肩こり。首から肩にかけての僧帽筋と呼ばれる広い筋肉が緊張により血流が悪くなり凝り固まった状態を意味します。
肩の痛みだけでなく、首の痛みや頭痛、吐き気など直接肩と関係ない場所にも症状が認められます。
肩こりはさまざまな二次障害を引き起こしてしまいます。
また肩が常に重く、パンパンに張っているという感覚が特徴です。
長時間のデスクワークや普段の姿勢、睡眠中の姿勢、近視や遠視などの視力異常、ストレス、体型が関係していることがわかっています。
肩こりに一番良いとされているのは、予防です。
肩こりの症状が出る前に日常的に血行を良くしておきましょう。
入浴や蒸しタオルなどで首から肩にかけてを温める、適度な運動を心がける、ストレスを溜めないことが重要です。
肩関節周囲炎(四十肩、五十肩)
いわゆる、四十肩、五十肩を呼ばれている症状です。
加齢によって肩の関節の動きがかたくなってしまい、関節や関節を覆っている滑包液に炎症が起こることが主な原因とされています。
また過去のケガや手術を行った場合にも同様の症状が現れるともされています。
痛みで肩があがらない、安静にしていても痛みを感じる場合があります。
髪の毛をとかす、洗濯物を干す、高いところのものを取る、といった日常的な行動が難しくなってしまいます。
痛みが強いときには安静にすることが第一です。湿布や消炎鎮痛剤の服用も痛みを和らげるために効果があります。
また専門医のもとで痛み止めのステロイド注射やヒアルロン注射などの処置をしてもらうことも可能です。
肩が少し動くようになってきたら、徐々に軽いストレッチを始め、患部は温める段階にうつります。電気による刺激療法を行う場合もあります。
肩こり同様に日々の予防によって、突然の症状を最小限に抑えることが可能とされています。
変形性肩関節症
肩関節の骨(上腕骨、関節窩)が変形する状態です。
肩が上がらない、肩を回すときに違和感を感じるなど、肩関節周囲炎と症状が似ているためにそれだけでは判別しずらいことがよくあります。
レントゲンを撮ることで診断されます。
変形性肩関節症では痛み止めの服用や注射に加えて、根本的な治療に手術が必要となります。
腱板の断裂の有無によって手術内容が異なります。
脱臼
肩の関節のかみ合わせがすれて非常に強い痛みの症状が現れます。
肩が横に開いた状態で外部からの強い力によって肩関節が上のほうへ回す、伸ばす、外側へひねるといった行為によって
上腕骨頭(上腕骨の先の丸い部分)が関節から外れる状況です。
ラグビー、野球のスライディング、レスリング、柔道、スノーボードなどのスポーツで多く発生します。
一度脱臼を経験してしまうと、その後関節が緩くなりより繰り返し外れやすくなってしまうことが特徴です。
10歳代で脱臼を経験した場合では、その後の80%の確率で再発する「反復性肩関節脱臼」になることがわかっています。
自己流で治そうとすると骨折の恐れがあるために、すぐに医療機関での受診をしてください。
上腕骨位部骨折
腕の骨で肩の関節に一番近いところの骨が骨折する症状です。骨粗しょう症などで骨がもろくなった高齢者に多いケガといえます。
転倒時に手をついたり、高所からの落下などで発生しやすいとされています。
骨折の程度は軽傷のものから、重症までさまざまなため、固定だけで済む場合もあれば手術をしなくてはいけない場合など
それぞれに合った治療をすることになります。
肩腱板損傷
肩は4つの筋肉で構成されています。その4つの筋肉の腱が切れてしまう症状で、肩腱板断裂ともいわれています。
強い痛みが特徴ですが、必ずしも肩が上がらないというわけではありません。
加齢によって40代頃からみられるもので、腱の消耗で気付かないうちに切れてしまうことも多く、
その場合には特に目立った症状が見当たらないこともあるのです。
重いものが持ち上げられない、力がはいりずらいと感じたときには、肩腱板損傷を疑う必要性があるかもしれません。
また若年層の場合にはバレーボールや、野球などのスポーツで損傷を認める場合には、手術を検討する可能性もあります。
頸椎椎間板ヘルニア
首の骨を形成している7つの頚椎の間にある椎間板が加齢、日常生活の姿勢などにより壊れ、後方に飛び出すことで神経根や脊髄を圧迫し、神経症状を引き起こしている状態です。
神経を圧迫するため、首の痛みだけでなく、肩甲骨あたりの痛みが現れることがしばしばあります。
基本的な治療には、鎮痛消炎剤の服用、神経ブロック注射などで痛みを和らげる対処療法が主流です。
痛みが強く改善が見られない場合には手術が必要と判断されることがあるようです。
心筋梗塞
心臓とは関係ないかと思われる肩の痛みですが、前兆のひとつとして肩の痛みが現れる場合があるので注意が必要です。
必ずしも心臓付近に痛みが現れるわけではなく、肩を含む、歯、顎、背中など体の他の場所にも違和感や痛みが生じます。
腕の上げ下げに関わらず常時肩に痛みがある場合、また整形外科などを受診したにもかかわらず異常を認められなかったときには
心筋梗塞を疑う必要があるかもしれません。
痛みが長く続くときには、循環器科、内科の受診をおすすめします。
肩の違和感を感じるときの対処法
痛みが強いときには第一に安静を保ってください。
冷やす、痛み止めの服用などで、一時的なケアを行ったあとも違和感が続くようであれば医療機関での受診をおすすめします。
肩は人の体の中でも大きな関節です。また腕と胴をつなぐ重要な役割を果たしています。
肩の違和感は大きなケガや病気との関連も深く、スポーツでも故障しやすい箇所です。
自己判断で済ませずに、専門医の指示で早期治療をすることで早い治癒が期待できます。
まとめ
肩はひとの首と腕を支えているため、日常的に疲労しやすいです。
予防策として効果の高い、ストレッチや運動で肩の血行をよくすることを心がけてください。
お風呂に浸かり、リラックスしながら温めるとストレスの軽減にもつながります。
肩の筋肉を柔軟に保つことで痛みの症状やケガは防ぐことが可能です。
また加齢によってもろくないやすい骨を強くするために正しい食生活でカルシウム不足を避けましょう。
睡眠時には肩や首に負担がかからないような体勢であるか、寝具は会っているか確認しましょう。
そして肩の痛みや違和感が継続して続くときには必ず医療機関で診てもらってください。