むちうちとは
むちうちは、わかりやすく言うと首の捻挫です。
頸椎捻挫や頸椎挫傷、外傷性頚部症候群、頚椎神経根症などと診断されることが多いようです。
首に強い力が加わることで、首の筋肉、骨、靭帯、血管、神経などが損傷した状態を指します。
人の頭は重く、衝撃によって振られることで首に大きな負担がかかってしまいます。
頭から首が鞭のようにしなることで起こる症状のため「むちうち」と呼ばれています。
むちうちの原因と症状
むちうちの原因
むちうちの発生は、主に交通事故の被害によるものが圧倒的です。
車の損傷が小さいからといって、首にかかった衝撃が小さいとはいえません。
交通事故の被害の中でも追突により自身の車が移動するほどの衝撃をうけた場合には、角度によって複雑な損傷が生じることがあります。
追突のされ方によってもむちうちの症状はさまざまに変化します。
また頭の上に重いものが落ちてきたときや、スポーツ、ストレッチ、ヨガなどでもむちうちになってしまうことがあります。
普段の動きにはない動作を適切に行わないことが原因となります。
そして近年は自律神経や脳幹症状が関係しているバレー・リュー症候群というタイプのむちうちがあることもわかってきました。
原因が特定できないむちうちが起こるのはこのためだと考えられます。
むちうちの症状
むちうちにみられる症状は多くあります。
痛みが直後ではなく、早くても2~3日後、遅い場合には1~2週間経ってから現れることもむちうちの特徴です。
- ・首の痛み、首の運動制限(首が動かせない)
- ・頭痛、めまい、吐き気、耳鳴り、痛みによる不眠、疲労感
- ・後頭部の痛み、肩の張り、背中、腕のしびれ
- ・天気や湿度、季節の変わり目などの痛み
- ・長期の継続的な首の痛み
重症度や首のどの部分がむちうちの原因となっているのかによって、症状の現れ方が違います。
首の周辺には重要な神経が集中しているため、むちうちとは無関係と思われるような箇所でも異変が現れるのです。
むちうちの治療
むちうちの症状が出始めたらまず、整形外科にいくことから始まります。
レントゲンで骨の異常を、MRIで筋肉や神経根、靭帯、脊髄の異常を調べてもらってください。
診察ではむちうちを判別するために、症状に合わせいくつかの検査が行われます。
その後の治療は整骨院や鍼灸院でも受けることができます。
また、交通事故の被害にあった場合には症状が出るのを待たずに病院で診てもらうことをおすすめします。
むちうちの初期には、炎症が大きいために安静にすることが第一です。
湿布や鎮痛消炎剤は効果があります。
また頸椎カラーなどの使用で安定させることで、痛みが多少和らぎ治りがよくなります。
しかし長期の使用や不要な安静は筋力の低下を招きかねないので注意が必要です。
主な症状が落ち着いたら、できる範囲で意識的に動かすことが重要となります。
痛みが強いときには、ブロック注射による治療法もあります。
痛みを伝達する神経を局所麻酔によってブロックすることで改善を試みる方法です。
数回の注射で症状がよくなるとこもあります。
症状が落ち着いてきたころには、理学療法による治療が行われます。
温めて血行を良くする物理療法では、熱や電気によって改善を促す方法があります。
運動療法では今まで安静にしていた関節や筋肉を少しずつ動かしながら治癒に向かわせます。
ゆっくりと首を回す運動や、前後左右に首を傾ける運動などが主となります。
整骨院では理学療法に加え、手技治療によってかたくなった筋肉をほぐす治療が受けられます。鍼灸院では鍼による治療もあります。
一時的に楽になっても鈍い痛みや残る場合があります。きちんと完治するまで通院し、治療を続けることが大切です。
むちうちの平均的な治療期間
むちうちの治療期間は、損傷個所や重症度によって変わってきます。
首周りの筋肉が損傷している場合
最も多い筋肉の捻挫で、約70%がこれにあたります。
一般的には3週間~3ヵ月程度の治療期間が必要とされています。
首の関節が損傷している場合
首の骨と骨をつなぐ椎間関節の捻挫です。
損傷が激しい場合には頸椎椎間板ヘルニアになってしまうこともあります。
治療は軽傷であれば3週間程度ですが、重症になると3ヵ月から6ヵ月ほどかかる場合があります。
首の神経が損傷している場合
頸椎からの末しょう神経である神経根が原因のむちうちでは6ヵ月~1年の治療期間が必要になることがあります。
またしびれを感じるだけでなく、運動神経や筋力の低下も認められます。
痛みも強く、治療自体も長い目でみる必要があります。
自律神経(バレー・リュー症候群)によるむちうちの場合
治癒には個人差があり、最低でも6ヵ月~1年ほどかかるといわれています。
人によってはそれ以上かかることもあるようです。
平均的にみると長期化することは少ないことがわかります。
3ヵ月~6ヵ月程度で症状が改善し治療が終わる例が80%といわれています。
治療後の予後も良いので多くの場合は完治に期待できますが、中には痛みやしびれ、麻痺が後遺障害として残る場合もあります。
まとめ
自分がいつ交通事故の被害にあってしまうかわからない社会です。
自動車の運転には十分に気を付ける必要があります。乗車時にはシートベルトを装着しましょう。
むちうちは自然には治りません。症状が現れた場合には、自己判断をせずに正しい治療を受けてください。
また日頃からストレッチや運動などで、柔軟な体作りを目指すことでスポーツによるむちうちなどを予防することが可能です。
むちうちのように首が不自由になることは日常生活の中で思っているよりも不便さを感じます。
痛みが続けば、治療期間も長くなってしまいます。
きちんと治療を受け、しっかりと症状を治すことが大切です。