整骨院、整体院、針灸、マッサージでの保険診療は可能?
病院では保険診療によって1~3割の負担で診察・治療を受けられます。実はこの保険診療が受けられるのは病院だけではないことをご存じでしょうか?場合によっては整骨院などの施設でも保険診療によって自己負担が少なく施術をうけることができます。本記事では整骨院、整体院、針灸、マッサージにおける保険診療の適用範囲や、保険診療にならない施術について解説していきます。その他にも、実際に保険診療で施術を受けるための手続きや注意点などについて紹介していきますので、興味がある方が是非最後までご覧になってください。それではいきましょう。
保険適用の範囲について
ここからは整骨院、整体院、はり・きゅう、マッサージにおける保険適用の範囲について紹介します。
整骨院の場合
保険適用
整骨院で保険適用が認められるのは以下の場合です。
- ・肉離れ
- ・打撲
- ・捻挫
- ・骨折(医師の同意が必要)
- ・脱臼(医師の同意が必要)
- ・ぎっくり腰(緊急を伴う症状の場合)
保険適用外
整骨院で保険適用外になるのは以下の場合です。
- ・慢性的な肩こり、腰痛、四十肩、五十肩など
- ・スポーツによる筋肉疲労を和らげるためのマッサージや温冷罨治療
- ・過去の交通事故や怪我が原因による頚部・腰部等の疼痛
- ・慢性病のリハビリやリウマチ、関節の炎症、神経性疼痛など
はり・きゅうの場合
保険適用
はり・きゅうで保険適応が認められるのは以下の場合です。神経痛、リウマチ、頸(けい)腕(わん)症候群、五十肩、腰痛症及び頸(けい)椎(つい)捻挫後遺症等の慢性的な疼痛を主症とする疾患の治療
※はり・きゅうで保険適用の施術を受ける場合、あらかじめ医師の発行した同意者や診断書が必要となるので注意しましょう。
保険適応外
はり・きゅうで保険適用外になるのは以下の場合です。保険適用で紹介した治療以外の基本的な治療全般
マッサージの場合
保険適用
マッサージで保険適用が認められるのは以下の場合です。筋麻痺や関節拘縮等であって、医療上マッサージを必要とする症例について施術を受けたとき
保険適用外
マッサージで保険適用外になるのは以下の場合です。疲労回復や慰安を目的としたものや、疾病予防のためのマッサージ
※マッサージで保険診療となる場合は、医師の同意書や診断書があるなど特殊な場合に限ると思って良いでしょう
整体院の場合
整体院では保険適用の施術をうけることは出来ません。
整骨院における保険適応の施術から支払いまでの流れ
ここからは整骨院で保険適応の施術をうけることに焦点をあてて、施術から支払いまでの流れを説明したいと思います。
- ①整骨院で保険証を提示したうえで施術をうけましょう
- ②『療養費支給申請書』を直筆で記入し、捺印して提出します
- ③会計の時は療養費の3割を支払います
- ④支払い後、整骨院の柔道整復師が療養費支給申請書を健康保険組合に提出します
- ⑤健康保険組合から自分に『施術内容などの確認連絡』がくるので、必ず対応してください
- ⑥確認連絡が着た後に、健康保険組合から柔道整復師に療養費が支払われます
以上が整骨院で保険適用の施術を受ける流れです。保険適用でない場合との大きな違いは『療養費支給申請書』を提出する点です。本来は保険適用だとしても、整骨院で医療費の全額を自己負担したのちに、自分で健康保険組合に申請手続きを行うことが原則です。しかし『療養費支給申請書』を提出すれば、これらの面倒な手続きをせずとも整骨院の柔道整復師が代わりに療養費の請求を委任してくれるので、その場で支払う金額が3割負担で済むのです。療養費支給申請書を書くのが面倒だと思う方でも、一度全額自己負担をして健康保険に申請するよりは簡単だと思われますので、必ず療養費支給申請書を提出するようにしましょう。
整骨院での注意点
整骨院で保険診療を受けるために注意すべき点を紹介します。これらの点に気を付けないと、最悪保険診療で施術を受けられたのに全額自己負担になってしまうという場合も考えられるので、必ずチェックするようにしてください。
症状を正確につたえる
整骨院で保険適用で施術してもらえる症状である場合、そのことを正確に伝える必要があります。あらかじめ保険適用で施術してもらいたい旨を伝えて、肉離れ、打撲、捻挫、骨折、脱臼、ぎっくり腰などのどの症状があるのかについて正確に説明しましょう。特に骨折や脱臼の場合は医師からの同意が必要なので、いつから症状があるのかについても正確に伝える必要があります。
重複受診やはしご受診は避ける
整骨院で保険適用の施術を受ける際には、重複受診やはしご受診をしてはいけません。具体的には、病院や診療所で同じ症状を治療中の場合には、施術を受けても保険適用の対象にはならないのです。保険適用にならないのは整骨院だけでなく、保険適用の施術が可能なはり・きゅうやマッサージなども当てはまります。こういった場合、病院での治療で効果が感じられずに整骨院やその他の施設を利用するパターンが多いです。しかし、病院に通っている期間にこういった重複受診やはしご受診をしてしますと、たとえ症状的には保険適用の範囲だとしても保険適用外になり、全額自己負担になってしまいます。
領収書をもらう
保険適用で整骨院を利用した際には、必ず領収書をもらうようにしましょう。領収書があることによって、自分の医療費負担分が分かりますし、何より領収書は医療費控除を受ける際に必要になります。また、療養費支給申請書を提出せずに自分で健康保険組合に申請する際にも領収書が必要になりますので、絶対に捨てないように保管しておいてください。
まとめ
いかがでしたか。整骨院や、はり・きゅう、マッサージにおいても条件さえ満たせば保険適用で施術をしてもらえることが分かりました。しかし、病院に通いながらだと保険適用が認められなかったり、症状や発症の時期によっても保険適用外になる可能性があります。もしも保険適用での施術をしてもらいたいのであれば、それを各施設でしっかりと伝えて、療養費支給申請書の提出や健康保険組合への手続きなどを行う必要があります。人によってはこれらの手続きをすることで、大きく施術の費用を抑えることができるかもしれません。自分の症状が保険診療になりそうだという方は、是非これらの手続きを行って施術を受けてみてください。本記事が皆様の参考になれば幸いです。